体験談 / 京子

離乳食を食べない子どもにイライラしなくなった理由とは?

その頃の私はとてもイライラしていた。

 

離乳食、、、
今日も食べてもらえなかった。

栄養も温度も食感も気遣いながら
一生懸命に作ったそれを、
ゴミ袋に捨てながら
「もうイヤだ」って呟いた。

完全に心が折れていた。

なんでこの子は食べないの?

上の子は すんなり食べていたのに。
友達の子もパクパク食べてるよ。
みんなニコニコ笑顔で
美味しそうに食べているよ。

SNSを見るのが嫌になった。
我が子を人の子と比べては、
胸がギュッと苦しくなる。

毎日、毎日、離乳食のことで
頭がいっぱい。

2歳のお姉ちゃんがいて
絶賛イヤイヤ期だから、
そっちも相手して宥めながらの料理。

疲れたよ。
もうやめたいよ。
誰か代わってくれないかな。
だけど、やめられない。
交代なんて出来ない。

私が、この子のお母さんだから。
お母さんなんだから
頑張らなきゃいけない、って。

夫に弱音を吐いた。
「そっかー」軽い口調で言われた。

「じゃあ、授乳しとけばいいじゃん」
「無理にあげなくても良くない?」

、、、はぁ?

夫は分かっていない。
どれだけ授乳がエネルギー使うかも。
肩も腕も痛いんだよ。

私だけ大変な思いしろっていうの?
自分の身体じゃないからさ、
そりゃ他人事だよね。

それに、だんだんと母乳だけでは
栄養が追いつかなくなるんだよ。

歯が生え始めたら
食べる練習を始めるものなんだよ。

“普通”は、そうなんだよ!

育児書に書いてある。

ふたりのこどもなのに。
父親は気楽でいいよね、、、
何も分かってくれない。孤独だ。。

夫には相談しなくなった。
私は、いよいよ追い詰められていた。

それでも毎日、
食べてはもらえない離乳食を
精一杯作り続けていた。

だって。
お母さんだからね、、

お母さんは、どんなにしんどくても
こどもの為に頑張るものなんでしょ。

そうでしょ?、、、




ある日、ぼんやりしながら感じた。この捨てられた食事は私そのもの。

拒否されたゴハン。
それは否定された私そのもの。

そんなふうに感じた、、、

そしたら、なんだか無性に泣けてきて
捨てられるゴハンが不憫で
えんえん泣きながら
塩気のしない冷めたそれを食べた。

私の泣き声に驚いて
赤ちゃんだった息子もビクッとして
張り裂けるような声で大泣きした。

その泣き声は
私を責めているように感じて
心臓がバクバクした。

心を針で刺されるような痛み。
メガホンで
「あなたはダメ親でーす!」
って全力で言われているような錯覚。

目を閉じて耳を塞いだ。

「もうイヤだ、イヤだ、イヤだ、、」

どうしたらいいの?

これ以上、何をしたらいいの?
誰かに教えてもらいたい。
誰かに助けてもらいたい。

こどもに食事も食べてもらえない
こどもに食事も食べさせられない
ダメなお母さん。

ダメ、バツ。私は母親失格。

息子の顔を、、
まともに見れなくなった、、

一番可愛い時期なのに、
ニコニコご機嫌の時でさえ
思いきり可愛がることが出来なくて。

ううん。
可愛いって思えなかった。
こわかった。

私を否定してくる小さい怪物。

またやってくる、憂鬱な時間。
ごはんの時間。



月日が経つにつれ
息子は赤ちゃんではなくなった。

少しずつ食べてくれ始めたけれど
特に喜びも感じず。

ようやく少しだけ“普通”に近づいた。
そんな感覚だったんだ。

食べてくれるようになっても
世間一般の“普通”よりか遥かに少ない。




このままじゃいけない。

育児書や雑誌の体験談も読み漁った。

【良いお母さん】になる方法を求めて
ネット徘徊もした。

ある時、たまたま聞いた言葉。

「一番重要なのは
どれだけ手を抜けるか」、、えっ?

いやいや、、(笑)
手を抜いちゃダメでしょ
親として責任感無さすぎでしょ

「カップラーメンを作っているだけでも
作ってないより頑張ってる」

カップラーメンだめでしょ
そんなの上の子にも食べさせたことないよ

私、完全に手作りだからね?
◯◯の素とかも使ったことないし

こんなにやってるのに
夫は感謝も労りの言葉もないし、、

ここまでやってるのによ?

だから手を抜いちゃダメだよ
ラクしちゃいけないよ
必死で頑張ってなきゃ

そうじゃなきゃ、じゃなきゃ、、

「誰も私を褒めてくれないでしょう?」

そうだよ、褒めてくれない。

褒めてもらえないんだよ、、、

、、、あっ。。

どうしよう。
気づいちゃった。。。

そっか、、

そっか、そっか、、

私、褒められたかったんだね。

頑張ってるよ、って
あなたは充分やってるよって

誰かに認めてもらいたかったんだね。

不安だよ
分かんないよ
だけど毎日、お世話しているんだよ。
一生懸命、お母さんしているんだよ。

誰でもいい。ひとりでいい。

寄り添ってもらいたかったんだよね。

そうしてもらうことで
【良いお母さん】って証明書を
自分自身に与えたかったんだよね。

涙が溢れて、とまらなくなった。

誰かに認めてもらわなきゃ
ハナマルもらえなきゃ
不安でたまらない自分。

だけど、そのハナマルをつけるのを
一番拒んでいたのは私自身だったんだ。

私が一番、私を褒めていない。

誰よりも私の頑張りを見てきたのは
私自身なのに。

こんなに近くにいるのに。

ダメ親コールのメガホンを握っていたのは
息子でも夫でも実母でも
友人でも育児書の中の人でもなく、

私だったんじゃん。。




「私、頑張ってる」

恐る恐る声に出して言ってみた。

また涙が頬を流れた。

目を閉じて、
息子の生まれた日を思い出す。

前期破水しちゃったから
心の準備が出来ないまま、お産になった。

上の子が胃腸炎になって
夫は立ち会いできなくなって
すごくすごく心細いなか、
クラクラする痛みに耐えながら祈った。

(無事で生まれたらそれでいい!)
(神様!!いるか知らないけど、お願い!)

息子。ちっちゃかった。
だけど、ほぎゃあって泣いた。
すぐNICUに連れて行かれたけれど。

生まれてきた。無事に。
産んだのは私。
産んでから、この命を今日まで
守り続けてきたのも私。
私と、、私だけじゃない。

夫と、、たくさんの人たち。
なんだ、、私、ひとりじゃなかったね。
なんで見えていなかったんだろう。。

この子が生まれてきてから年中無休で
この子と暮らしてきた。

少食だけど。

ほっぺはツヤツヤだし
肌はピチピチだし
手はあったかい。

おしっこもうんちも出る。
ニコニコ笑う。

耳がキーンとするくらいの声で
泣き叫ぶ体力もある。

面白いダンスもする。
猫のシッポだって引っ捕まえる。

なんだ。
元気じゃん。生きてるじゃん。

子育て 、、してるんだよ
だって 育っているんだよ

“子育て”出来てるじゃん。

「私、頑張ってる」
また声に出して言ってみた。

さっきよりも大きめの声で言ってみた。
身体中をジンと温かいものが巡った。

「私、頑張ってる」
「私、頑張ってきた」
「私、えらい、めっちゃすごい」

ふわぁっとチカラが抜けた。

それは息子が生まれてから
はじめて味わった感覚だった。

ずっとずっと気持ちが張りつめて
いたんだろうなぁ。



ごはん。
息子は、お肉きらい。魚きらい。
野菜きらい。きゅうりは食べる。
お米きらい。パンは食べる。卵も。

おー。
食べられるものあるじゃん。
同じものが続いてもいいじゃん。
少食なりに満腹になればゴキゲンな息子。

それでいいって思えるようになった。




ある日、私が食べていたアイスをじぃーっと見つめていた、、、

アイスって何歳から?
幼稚園に入ってから?
、、、ううん、そうじゃなくて

欲しがっている
興味を示している
よだれ流してる、、、

よし!

ひと欠片、口に入れてあげた。

入れた途端、冷たさにびっくりしたのか
口からダァーって出てきて
ムンクの叫びみたいな顔した(笑)

それを見ていた娘が
「つめたぁいってよぉ〜」
と指さして笑った。

夫も爆笑していた。
だんだんおかしくなって私も笑った。
声に出してゲラゲラ笑った。

笑っている私達をみて
息子はキョロキョロしていたけど、
そのうちニンマリとして
「ふふ〜」って口に手を当て笑った。

その顔を見た時に胸がキュンとした。

(なんて可愛いの!!!!)

なぁんだ。

私が笑えば、息子も笑うんだ。
あったかい、やわらかい空気が流れる。

じっくり眺める。
ゆっくり、息子の表情を味わう。

私、この子のお母さんなんだなぁ。。

この瞬間。
何をしていても、していなくても
この子と共に生きていて。

ずっと、お母さんをやってこれていた。

紛れもなく、私は
頑張ってる素敵なお母さんなんだよ。

誰かに言葉にされなくても
私がそれを知っているんだよ。

これからは私が私を褒めてあげる。

毎日。何度でも。
どんな時でも。
だって私、頑張ってるから。

手抜きでも、必死でも、
眠たくてもイライラしても
やる気おきない日だって
間違いなく頑張ってるんだから。

ゴキゲン元気で一緒に笑えたら
そうやって過ごせたら
あとは「まぁ、いっか!」

泣いて怒っちゃう日も「まぁ、いっか!」

私の“しあわせ”は
育児書通りに成長する子育てではなく
こうやって笑い合える
ほっとできる時間だったんだなぁ。

これが、この感覚が、
私の心が感じている“これ”が
私の “しあわせ”

なんて心地よいんだろう
なんて愛おしいんだろう

そして、なんてラクなんだろう

心も身体もフカフカのおふとんに
包まれてるような気分。

この感覚を忘れたくない。
忘れたくないな。

明日も覚えていたいな。

明日がどんな一日であったとしても
この子と共に目覚め、眠りにつく。

きっと。

そうやって、この子と生きる自分を
明日も褒め称えよう。

明日も明後日も
これまでの日々の自分にも
盛大に拍手を贈ろう。

そして明日も
この子と一緒に笑おう。

ゲラゲラ笑おう!


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ブログをお読みいただき
ありがとうございます

夫婦関係、子育てなどで
悩んでいた私が
Funスタと出会ってから
自分と向き合う中で
ひとつひとつ悩みを解決し
より幸せを感じられる自分になるまでの
実話が本になりました

京子のリアルストーリーを綴った
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投稿者プロフィール

京子
京子
30代・専業主婦。
男女2人のこどもの母。

昔から自分に自信がなく
「世間一般」を尺度にして
生きてきた。

こどもが生まれてからは、
「〜であるべき」に縛られ
毎日イライラ…
楽しめない、笑えない…

そのうえ価値観の違いから
夫婦で言い合う日々が増え
人生最大のピンチ!

そんな時、Funスタと出会い
自分と向き合う中で
【本当の幸せとは何か?】を
探し始める。

たくさんの「べき」を
手放すうちに自分を許せる、愛せる、認められる私に
なってきた。

こどもや夫とも笑い合える、
あったかい仲良し家族に♡

驚くことに、家族以外の
人間関係も良くなってきた。

もっともっと幸せになる♫

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